
2018年12月10日、日本政府が中国企業であるファーウェイとZTEの通信設備を排除する方針を固めたと報じられました。
政府は中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)などを念頭に、2019年4月以降は安全保障上の危険性がある通信機器を調達しない方針を示している。
ファーウェイはスマホシェア世界2位を誇る中国の大企業です。
日本でも携帯ショップや家電量販店など、いたるところでファーウェイ製品を見かけます。
代表的な製品ではスマホ・タブレット・モバイルルーターなどがあります。
携帯大手各社でもファーウェイ製品は販売されていますので、本当に大丈夫か心配になりますね。
今回は国際問題まで発展しそうなファーウェイ事件の裏側について探っていきたいと思います。
中国の陰謀!?ファーウェイ事件とスマホの関係
ファーウェイとは
HUAWEI(ファーウェイ)とはスマホ世界シェア2位を誇る中国の大企業です。
端末の安さが魅力で、SIMフリースマホなどに多く採用されています。
世界のスマホシェアランキングは以下の通りです。
1位・サムスン
2位・ファーウェイ
3位・アップル
ドコモではトリプルカメラが売りのHUAWEI P20 Proや、タブレットではdtabなどがあります。
auやソフトバンクでも多くのファーウェイ製品が採用されており、モバイルルーターも多数存在します。
スマホ事業も好調ですが、ファーウェイの本業はモバイル回線の基地局にあります。
ファーウェイの基地局のシェアは、なんと世界1位です。
基地局のシェアは以下の通りです。
1位・ファーウェイ(中国)28%
2位・エリクソン(スウェーデン)27%
3位・ノキア(フィンランド)23%
4位・ZTE(中国) 13%
ファーウェイとZTEの2社を合わせると、中国企業が全体の4割を占めています。
排除対象になっているのはファーウェイとZTE社製の基地局です。
そこには各国の機密情報を巡る情報戦争が背景にあります。
ファーウェイ事件とは
米国は今年8月、ファーウェイやZTEの製品を政府調達から排除すると決めた。だが米国は12年時点で下院委員会が両社の聞き取り調査を実施し「中国政府や共産党との関与が疑われ、同国のサイバー攻撃の温床になる」と同社製品を使わないよう勧告。この時点で同社製品の排除は完全にレールが敷かれた。
ファーウェイ製品の利用がサイバー攻撃の温床になるとは穏やかな話ではありませんね。
また、ファーウェイ創業者の長女である孟晩舟(モン・ワンジョウ)氏がアメリカの貿易制裁違反の容疑でカナダの空港で逮捕され、世界的なニュースとなっています。
モン氏はファーウェイの最高財務責任者(CFO)です。
イラン経済制裁に違反した可能性があり、経済制裁国にアメリカの金融システムを用いてモノを売ることは金融詐欺罪に相当するとのこと。
モン氏逮捕への報復か、中国はカナダ人2名の身柄を拘束しました。
同国では逮捕への抗議活動として、アップル社製品の不買運動も起きています。
中国とアメリカの情報戦争
ファーウェイ事件の背景には中国とアメリカの政治事情が絡んでいます。
ファーウェイでは世界各国のモバイルネットワークの柱である基地局を供給しています。
つまり、ファーウェイがその気になれば自社の基地局を通る情報を盗み取ることも可能であるということです。
中国政府の要請があれば、ファーウェイは立派なスパイになります。
重要な軍事機密など、盗まれてしまえば一大事です。
(過去にファーウェイは協力したアメリカの技術を盗んだこともあり、裁判沙汰になっています。)
更に、ファーウェイの創業者である任正非(じんせいひ)氏は習近平国家主席と盟友であり、毛沢東思想を崇拝しています。
ファーウェイの海外戦略は毛沢東思想である「農村から都市を包囲する」であり、その思想を政治的に実践しているのが習近平国家主席で、商業的に実践しているのが任正非氏であると言われています。
こうした背景により、アメリカは随分と前から危機感を抱いていました。
国家の安全保障上、中国にインフラを支配されるのは困ります。
サイバーセキュリティ上の観点からファーウェイ排除に至ったわけです。
そのためアメリカは2018年8月にファーウェイやZTEの製品を政府調達から排除すると決めました。
これから5Gのサービス提供が始まれば、モバイルネットワークの重要性は更に高まります。
自動運転や電車、ドローン管制、遠隔手術など人命に係る通信にも採用されていきます。
もし、5Gのサービスにファーウェイの基地局が使われたとしたらどうなるでしょうか。
ちょっと怖くなってきました。
それでは、一般的に私達が使用しているファーウェイ端末は大丈夫なのでしょうか?
ファーウェイ端末って本当に大丈夫?
さて、日本には販売されているファーウェイ端末が山ほどあります。
こういうことを聞いていると、盗聴されているんじゃないかとか、メールの内容が筒抜けなんじゃないかと思ってしまいます。
今回はあくまで「基地局側の問題」ですので、端末はあまり関係がありません。
ファーウェイ製の端末には怪しいチップなどはついておらず、輸入前に検査がありますので安心して良いかと思います。
中国が欲しているのは政府関係者の個人情報や、軍事機密、企業機密なので重要ポストの人には驚異ですが、一般利用については盗聴する必要性がありません。
(日本では各省庁や自衛隊が使用する端末にファーウェイ製品は使われていない)
個人がファーウェイ端末を使うことは「特に問題ない」と言えるでしょう。
大手携帯キャリアの対応
ドコモ・au・ソフトバンクの各社では現在ファーウェイ端末を取り扱っています。
ファーウェイ端末を使うのは個人の自由なので販売中止にはなりません。
排除対象はファーウェイとZTE社製の基地局の設備です。
ドコモでは基地局の設備にファーウェイ製品を一切使用していないとのこと。
auではごく一部に使用しているが、主要設備ではない模様です。ZTE社製のものは採用していません。
ソフトバンクではファーウェイとZTE社の製品を採用しているが、海外ほど大きいシェアではないとのこと。
2018年12月6日に発生したソフトバンクの通信障害はスウェーデンの通信大手エリクソン製の交換機のソフトウェアに異常が発生したことが原因のため、今回のファーウェイ事件には関係ありません。
ソフトバンクは通信障害とダブルパンチで厳しい状況ですね。
2020年に予定されている5G実用化に向けて、各社ファーウェイとZTE社のインフラは採用しないとのことです。
まとめ
今回はファーウェイ事件について探ってきました。
事件の背景には中国の驚異が隠れていたわけですね。
因みに世界の主要5カ国における諜報機関の協定であるUKUSA協定(通称:ファイブアイズ)ではファーウェイやZTE社の5G通信網への参入を認めていません。
(※ファイブアイズはアメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドの五カ国からなる諜報機関協定)
ファーウェイ端末を利用する個人はそこまで心配する必要はないと思います。
よく監視社会と言われますが、まさにその驚異を実感するニュースでした。
現在はSNSを利用して他人とのコミュニケーションが簡単に取れるようになりました。
個人情報も簡単に知ることができます。
今回は各国のサイバーセキュリティ問題でしたが、知らず知らずのうちに個人情報が抜き取られる時代になっています。
twitter、Facebook、Instagram、LINEなどのサービスも注意して使う必要がありそうですね。
この記事が少しでもお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました!
また次の記事でお会いしましょう!