v6プラスとは?ネットが遅くなる理由をプロバイダの視点から解説

インターネットが遅いとお悩みではありませんか?

色々調べたけれど、v6プラスが速いとかIPv6が良いとかイマイチよくわからない。

専門用語ばかりでインターネットって分かりにくいですよね。

正直な話、v6プラスを説明すると専門用語が多くなってしまいます・・・

でもご安心ください。

今回は、インターネットの速度で悩んでいる人に向けて、ネットが遅くなる理由を「プロバイダの視点」から、できるだけ簡単に解説していきたいと思います。

結構マニアックな内容です。

それではいきましょう!

v6プラスとは?ネットが遅くなる理由をプロバイダの視点から解説

通信の基礎知識

まずはインターネットに接続する経路を解説します。

光コラボやフレッツ光の通信経路

基本的に光コラボやフレッツ光は、NTT東西のネットワーク網を通り、プロバイダを経由して各サイトに接続します。

上記の画像の「NGN(フレッツ網)」とはNTTが所有する日本全国に広がる巨大なIPv6ネットワークのこと。

「NGN→プロバイダ→ネット」という順番で接続するんだなぁ程度に覚えておけばOKです。

インターネットが遅くなる理由

結論を先に言うと、先程取り上げた「NGNとプロバイダ間の混雑」が原因でインターネットが遅くなります。

NGNでの問題は光コラボが登場した2015年頃から始まります。

急激に増加したトラフィック

トラフィックとは「一定時間内に転送されるデータ量」のことです。

三菱総合研究所の調査結果よると、固定ブロードバンドの総トラフィックは2016年から2017年にかけて39%増加したとのこと。

※参考資料:ICTメディア戦略グループ インターネットトラヒックの現状

ホームページだけを閲覧していた時代から、動画視聴が当たり前になった結果、一契約者あたりのトラフィックも急増しました。

通信量が増加した結果どうなったかは容易に想像できますね。

NGN内の網終端装置が大混雑

インターネットの利用者数と一人あたりの通信データ量が増加した結果、NGNとプロバイダをつなぐ網終端装置が大渋滞を起こします。

網終端装置を増設すれば問題は解決しますが、NTT東西ではネットワークが混雑を起こしたとしても、一定の増設基準ユーザー数に達しない場合、設備の増設はしないとのこと。

プロバイダからNTTへの要望

プロバイダはNTTに対して「通信量」が増えたら設備を増強して欲しいと要望を出します。

しかし、NTTは一つの設備に対する「ユーザー数」を増設の基準にしているため通信量が増えて混雑が起こったとしても設備を増設してくれません。

この問題を解決するためにプロバイダ側が総務省に改善を提案することに。

結果的に、総務省は「通信量」が増えたら、設備増強を見直すようにという通達を出します。

しかし、実際に改善されているのかは謎のままです。

現時点でも、トラフィック混雑箇所である網終端装置の増設は、NTT東⻄殿の基準を満たしていない(もっと多くの利⽤者が装置に収容されないと増設しない)という理由で応じていただけません。(2018年4月)

Jaipa/インターネットの速度低下における主な課題と当協会の取り組みについて

プロバイダの主張は「混雑が発生しているのにNTTが設備を増やしてくれないからインターネットが遅くなる」となります。

プロバイダが原因の場合もある

インターネットが遅くなる原因は、NTTの「NGN」とプロバイダをつなぐ「網終端装置の設備」に問題があると解説しましたが、原因がプロバイダ側にある場合もあります。

「NGN」と「網終端装置」は各都道府県別に設置されており、地域によって混雑している状況が違います。

「網終端装置」との接続はプロバイダにごとに違うため、同じプロバイダでも「A県では速いけどB県では遅い」という現象が起きます。

つまり、設備の規模に対して契約者が多いプロバイダは遅くなるということです。

契約者数が増えたプロバイダは、NTTに「網終端装置」の増設を依頼します。

増設が完了すると一時的に通信速度は改善しますが、契約者が増えてくると速度が下がります。

大手のプロバイダは「契約者が増える→NTTに増設を依頼→契約者が増える」のループを繰り返すため、なかなか速度が改善されないのが現状です。

以下、IIJのエンジニア公式ブログからの引用になります。

ISPのご利用者数・通信量に対して網終端装置の台数が不足すると、終端装置で混雑が発生し通信速度が低下してしまいます。
これが現在IIJmioひかりで起きている速度低下の原因のひとつです。
この状況を改善するためには、網終端装置の台数を増やす必要があります。
IIJでは継続的にNTT東西に対して増設の申し込みを行っており、準備ができた都道府県から順次増設が行われています。
増設が完了するとある程度通信速度は改善するのですが、ご利用者が増えて通信が増えると再び速度が低下します。もちろんIIJからは再度増設の申し込みを出しますが、次の増設が実行されるまでの間は速度が低下した状態が継続してしまいます。

IIJのエンジニアによる公式blog (てくろぐ=tech・blog)

基本的な問題はNTTの網終端装置の混雑ですが、プロバイダの契約者数が多いことも遅くなる原因となります。

では、どうすれば速度は改善されるのでしょうか?

v6プラスが誕生した経緯

インターネットが遅くなる理由は「プロバイダの契約者数」に対して「NGN内の網終端装置の数」が少ないことが原因だと分かりました。

解決する方法はただ一つ、「網終端装置を通らない」ことです。

※参考画像:Aterm Station製品情報サイトより引用

網終端装置を通らなければNTTの設備に依存することなく安定した通信速度を確保することができます。

以上がv6プラスが速い理由となりますが、詳しく知りたい人のために、もう少しマニアックな話をしようと思います。

「IPv4通信」と「IPv6通信」

従来のインターネットへの接続方式はIPv4通信が主流でした。

IPv4通信はとても混雑しやすく、インターネットが遅くなりがちです。

そこで近年登場したのがIPv6通信です。

IPv6通信は混雑が少ないのでスムーズにインターネット接続が可能です。

しかし、このIPv6通信には種類があり、単純にIPv6であれば速いというわけではありません。

まずはIPv4とIPv6について解説していきます。

IPv4・IPv6とは

IPv6というのは、ただのIPアドレスです。

インターネットに接続するには、接続するコンピュータを識別するネット上の住所が必要です。

郵便番号に例えると分かりやすいと思います。

IPv4 〒○○○-○○
IPv6 〒○○○-○○○○

IPv4ではインターネット上の住所が割り振れなくなってきたため、IPアドレスを増やすためにIPv6が誕生しました。

IPv6だから速いということにはならないのです。

速さの違いは通信方式にあります。

「PPPoE方式」と「IPoE方式」

インターネットへの接続方式には「PPPoE」「IPoE」の2種類の接続方式があります。

従来のインターネットは「PPPoE方式」で接続するのが主流でした。

「PPPoE方式」は別名「トンネル方式」と呼ばれており、インターネットにアクセスする際はトンネルを通らなければいけません。(最大速度200Mbps)

利用者が増えると「PPPoE」のトンネルの出口である網終端装置が混雑して遅くなります。

そこで混雑を回避するために作られたのが「IPoE」という高速道路です。(最大速度1Gbps)

「PPPoE」のトンネルが渋滞しすぎてインターネットが遅くなってしまったので、「IPoE」という新しい高速道路を作ったんですね。

「IPoE方式」は網終端装置を通らずにインターネットにアクセスするので、快適な速度が期待できます。

そして、さきほど説明したIPv4とIPv6が登場します。

v6プラスの誕生

「PPPoE方式」と「IPoE方式」には2つの問題点がありました。

1.IPv4は「PPPoE」のトンネルしか通れない

2.IPv6は「PPPoE」と「IPoE」の両方を通れるがIPv4サイトに接続するとPPPoEのトンネルを通されてしまう

事実、世界中のほとんどのWebサイトがIPv4形式のため、結局PPPoEのトンネルを通らなければいけないという状況に・・・

これではせっかくのIPv6 IPoEが台無しです。

そこで、IPv4でもIPv6でも空いているIPoEのトンネルを通れるようにしよう!

と開発されたのがIPv4 over IPv6(v6プラス)です。

IPv4パケットのカプセル化

v6プラスはIPv4パケットをIPv6形式にカプセル化してIPoEのトンネルを通過させます。

IPv4でもNGN内の網終端装置を通らないため、混雑を回避してスムーズにインターネットに接続できるんですね!

v6プラスと似ている通信方式

参考画像:日本ネットワークイネイブラー株式会社/公式HP

v6プラスと似ている通信方式は「transix」やソフトバンク光の「高速ハイブリッド通信」などがあります。

呼び方違うだけで、基本的にはv6プラスと同じような通信方式です。

v6プラスの判別方法

さて、ここまで細かい話をしてきましたが、自分のネット環境がv6プラスなのか判別する方法をお伝えします。

GMOとくとくBBの特設ページで判定できますので気になる方はチェックしてみてください。

 

v6プラスで接続していてもネットが遅いと感じる人は、周辺機器や分岐数を疑ってみましょう。

v6プラスではなかった場合は対応プロバイダにすれば速くなるかもしれません。

プロバイダ変更ができる光回線

プロバイダ変更ができる光回線は「ドコモ光」「フレッツ光」のみです。(光コラボへの転用を含む)

ドコモ光やフレッツ光を使っている人はプロバイダを変更すれば速度が上がるかもしれません。

次にプロバイダ変更ができない光回線をご紹介します。

プロバイダ変更ができない光回線

1.auひかり

auひかりは、加入時に契約したプロバイダを変更することができません。

また、auひかりの通信は「デュアルスタック方式」を採用しており、プロバイダの変更によって速度が向上することはないのでプロバイダを変える意味がないとも言えます。

デュアルスタック方式とはプロバイダを経由せずにインターネットに接続する仕組み」です。

2.ソフトバンク光

ソフトバンク光のプロバイダはYahoo!BBのみです。

プロバイダ変更はできませんが、光BBユニットをつなぐことによりv6プラス相当の「高速ハイブリッド通信」ができるようになります。

ソフトバンク光を使っていて、ネットが遅いという人は、光BBユニットをつないでいるか確認してみてください。

詳しくは関連記事でも紹介しています。

3.NURO光

NURO光で速度がネットが遅い世帯は、ほとんどないと思いますが、NURO光のプロバイダはSo-netのみです。

NUROが遅い場合は機器の不具合を疑うしかありませんね。

4.ドコモ光以外の光コラボ

各プロバイダが提供している光コラボもプロバイダの変更はできません。

業者によってIPv6サービスを利用するのに申し込みが必要な場合もあります。

例えばOCN光ではv6アルファというサービスがありますが、申込が必須で月額500円かかります。

ドコモ光・フレッツ光以外の回線で速度に不満がある場合、乗り換えが解決策となります。

最後におすすめのプロバイダを紹介します。

ドコモ光/v6プラス対応プロバイダ

ドコモ光ではv6プラスに対応しているプロバイダが多いので、フィルターをかけたいと思います。

まず、タイプBのプロバイダはタイプAより料金が200円高いので除外します。

タイプAかつv6プラスが自動適用されるプロバイダは「GMOとくとくBB」「@nifty」の2社です。

ドコモnetとplalaはv6プラスが自動適応されますが、ドコモ光ルーター01(9,590円)の利用が前提なので除外しました。So-netはドコモ光でのサービスを終了しています。

(※ドコモ光対応プロバイダのIPv6対応状況)

フレッツ光/v6プラス対応プロバイダ

フレッツ光では選択できるプロバイダが多いですが、正直なところフレッツ光が遅くてプロバイダ変更するのであれば、キャンペーンのある光コラボや他社の光回線に乗り換えた方がお得です。

フレッツ光からの転用は簡単に出来ますし、スマホとのセット割もきくようになります。

現状、フレッツ光を使うメリットは法人くらいかなと思います。

注意点
※v6プラスを利用するにはv6プラス対応ルーターが必要になります。
場合によっては新しいルーターの購入が必要です。
お使いのルーターがv6プラスに対応しているかは下記のサイトよりご確認ください。
【BUFFALO】【ELECOM】【IODATA】【NEC】

まとめ

自宅の光回線が遅くなる理由は様々ですが、原因はプロバイダにあるかもしれません。

インターネットの速度向上の基本は「混雑の回避」です。

プロバイダで重要なのは「v6プラス」に対応していること。

ドコモ光はプロバイダ変更が簡単にできるので、インターネットが遅いとお悩みの方は試してみてはいかがでしょうか。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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